その手をぎゅっと掴めたら。


すぐに解決して自席に戻っていく男子生徒を目にして、次から次へと葉山くんの席に質問待ちの生徒が並ぶ。


実は私も昨夜解けなかった問題を、朝一番で葉山くんに教わった。分かりやすく丁寧な解説をしてくれて、亜夜に教えてあげられるまでに理解できている。


「葉山って、いつ勉強してるの?」


野球部のエースがそう声を掛けると、


「他にやることがないから、家にいる時はなにかしろ参考書を読んでるかな」


葉山くんは淡々と答えた。
そういえば葉山くんの部屋にテレビやゲームはなかったな。難しそうな本は沢山あったけれど。


「ふぅん。真面目なんだな」


「俺も野球とか、打ち込めることがあればいいんだけどな」


「その内、見つかるさ。俺たちはまだ若いんだからさ!」


バシバシと葉山くんの肩を叩いた彼は笑いながら立ち上がる。


「それにおまえ、彼女いるじゃん。それだけで楽しいし、羨ましいぞ!」


「そうだね」


最後に強く肩を叩いた彼に、葉山くんは笑って答えていた。