その手をぎゅっと掴めたら。


注文カウンターに並ぶ葉山くんを眺めながら、英知くんは言った。


「僕と北斗さんと、瞬さんが3人で最後に食べたものがエビカツバーガーでした。2人に奢ってもらって。毎年冬になると必ず食べていたのに、瞬さんがいなくなってからは食べていませんでした。でもなんか、今日は食べたいなって思えた」


4人掛けの空いた席を見ながら英知くんは笑った。


「瞬さんは明るくて気さくで、テニスクラブのエースでした。瞬さんが北斗さんをクラブに誘ってから、2人は最強コンビで僕たちの憧れになった。瞬さんの瞬発力と、北斗さんの頭脳プレーは誰にも真似できませんでしたよ。…そんな瞬さんが亡くなってから、よく分からなくなっちゃって。特に北斗さんは、瞬さんの事故現場に居合わせたから…傷も深いと思います」


事故現場ーー想像することすら困難だ。

まして自分の目の前に倒れているのが友達だという衝撃に、向き合うことなど不可能だ。


「また北斗さんと一緒に、エビカツバーガーを食べることができて夢みたいです」


そう呟いた英知くんの声は震えていた。