その手をぎゅっと掴めたら。


19時になると店内にサラリーマンの姿が増えてきた。まだ仕事中なのかカタカタとキーボードを叩いていたり、敬語で電話をかけている姿が目立つ。


「北斗さん、帰る前にひとつお願いしてもいいですか」

「うん?」

「エビカツバーガーを奢ってください」

「いいけど、まだ食べられるの?」

「はい!」

「佐野は食べる?」

「美味しいから、食べた方がいいですよ。冬限定なのが惜しいくらい美味しいです」

「それは気になるけど…お腹は結構、いっぱいなんだよね」


店内に貼られたエビカツバーガーのポスターを見る。ボリュームがありそうだけど、海老がたくさん入っていてとても美味しそう。

いつも同じものを頼んでしまうため、冒険はできないタイプだけれど気になる。


「じゃぁ、2つ買ってくるよ。半分に分けて食べよう」


私の心中を察してくか葉山くんはそう言って、お財布を持って立ち上がった。