その手をぎゅっと掴めたら。


英知くんは自身の近況を話してくれた。
高校はテニスの推薦で進学できることが決まっていて、できればこの先もずっとテニスに関わっていたいという。

最近、彼女ができたばかりで浮かれ気味だというこも照れ臭そうに教えてくれた。


「そういえば、新山さくら先輩はお元気ですか」


生徒会長のことを英知くんも知っているのだ。

葉山くんの家まで案内してもらったお礼を言う機会を逃してしまっている。生徒会長だけあって、彼女の周りをいつも友達や後輩が囲んでいて、尻込みしてしまっていた。


「相変わらず元気だよ。生徒会長として頑張ってる。まぁ今は俺の先輩になっちゃったけどね」


「そうですよね、北斗さんも大学生ってことですよね」


「ちゃんと学校に通っていたら、そうなるね」


「そろそろ大学のことを考えていたりしますか?」


「まぁ、うちも進学校だしね」


葉山くんの言葉に私も頷く。
クラスで唯一、塾に通っていない私たちはあまり進路の話をしない。葉山くんは、目指せばどこの大学でも入れてしまいそうだけれど、私は迷っていることだけを伝えた。


祖父の喫茶店を継ぎたい。
その目標にどうしたら辿り着けるか、考え中だ。


「北斗さんなら国立も狙えますよ」

「そうかな」


否定せずに軽く流した葉山くんはどんな未来を描いているのだろう。