その手をぎゅっと掴めたら。


早紀ちゃんと雪ちゃんも興味津々で2人に近付く。


「葉山くん、どうなの?」


凛ちゃんが返事を急かすと、葉山くんは私を見た。


「俺は、佐野と付き合ってるけど。それがなに?」


私に視線を向けたまま彼はきっぱりと言い切った。


「なぜ?なんで真奈なの?」


それは凛ちゃんの声のように聞こえたけれど、複数の声が混じっている。

「葉山くん!嘘でしょ!」

悲鳴に近い声も聞こえた。



騒ぐ声など気にも止めず、

「付き合う理由?"好き"だからだよ」


当然のことのように言い切ってくれた。

葉山くん、ありがとう。
嘘でも嬉しいよ。