その手をぎゅっと掴めたら。


瞬さんとは初めて聞く名前だったけれど、彼が葉山くんの言う"見殺しにした友人"なのだと察した。


「…そうだな、あの時は現実が受け入れられなくて、返ってみんなに心配かけたよな」


苦笑しながら葉山くんは言う。


「今日だけは言わせてもらいますけど、そのままテニスクラブを辞めたことが一番許せないです。仲間たちに挨拶もなく!」


「だよな…」


「でもいいんです、またこうして話せたから…相談会でもまさか会えると思っていなくて、本当はすごく嬉しかったんです」


英知くんが俯き、鼻をすする音がする。


「ありがとう」


葉山くんはハンカチを取り出して、そっと英知くんに渡した。