「英知は俺の通っていたテニススクールの後輩で、ダメになった頃の俺のことも知っててさ。俺のことが気になってて、相談会に来てくれたみたい」
「その節は、すみませんでした」
苦い顔をして英知くんが頭を下げる。
黙々とハンバーガーを食べた後、ゆっくりと会話が進む。
「それはもう許したって言ったろ。あ、そうだ。ところで"悲劇のヒーロー"って?その呼び方は納得いかないんだけど」
それは私も気になる!
「北斗さんは僕にとってのヒーローですから。テニスの達人で、年上との負け試合もあっさりと逆転したり、クラブ内の揉め事も上手く解決してくれたり。その上、頭も良くて、完璧で、顔もいい!ヒーローですよ、本当に」
熱く語る英知くんの言葉に、大きく頷く。
葉山くんはヒーローという称号が似合うよね。
「ヒーロー?そうか…?」
しかし本人はしっくり来ていないようだ。
狙ってカッコいいことをしていないところがまた良いんだよね。
「…だけど、瞬(しゅん)さんが死んだことを自分のせいにして、辛いのはみんな同じなのに、自分だけがその悲しみを背負っているような顔をして。そのくせ弱音を一言も僕たちに吐いてくれなかったですよね。そんな時まで、カッコつけんなって思ってたんです」
声のトーンを下として、悔しそうに語った。


