その手をぎゅっと掴めたら。


「真奈、真奈!ぼっとしてないで、早く行くよ」


肩を何度か叩かれ、英語の授業が終わっていたことに気付く。


「待って、凛ちゃん!」


彼女は私より先に葉山くんの席に駆け寄った。

そして先程出された英語の課題を解いている葉山くんに話しかける。


「葉山くん、聞きたいけどがあるんだけど」

「なに?」

「昨日、真奈が葉山くんに告白したじゃない?そのことで聞きたいの」


凛ちゃんの声は大きく、クラス中が一斉に私を振り返った。中には哀れみの視線も混じっている。


葉山くんはシャーペンを置いて、凛ちゃんを見上げた。

「それで?」

「いつものように、即答でフッたよね?」


告白の現場に居たのだから、そうでないことは知っているはずなのに…。

教室が静まり返っていた。