その手をぎゅっと掴めたら。


ホームルームが終わり英語の授業が始まるが、集中できなかった。

私が葉山くんと付き合えることは奇跡だと思うし、素敵な人だと憧れはするけれど、好きの感情は一切ない。

ほら、よくある話だよ。

自分の欲しいものは手に入らないのに、友達のためにクジを引いたら、一等賞があっさり出てしまうこと。それと同じ。

私は葉山くんに対して無欲だから、たまたま了承を得ただけなんだ。



私もきちんと謝って、それで終わりだと思っていた。

でもあんな風に言われたら、つい勢いで付き合う流れにのってしまった。

今でも鮮明に思い出す嫌な記憶。
暴言を吐かれてたり無視される日々。
他人から向けられる負の感情は、私を闇に誘う。自分なんていなくなればいい、いつしかそう思うようになっていた。


そんな時、自身が不幸のどん底に落ちていると錯覚している時、

私に救いの手を差し出してくれたクラスメートがいたのだ。