その手をぎゅっと掴めたら。


「本当なの。今朝、葉山くんと話したの」

「なにを?」

「…とにかく、付き合ってもいいって葉山くんが言ってくれたから、付き合うことにしたの」

「真奈、可哀想だけどあんたはからかわれただけだよ」

「……」


からかわれた?
言われてみたら、そんな気もする。


「あいつはどんな美人の誘いにも乗らなかった難攻不落な王子だよ?絶対、からかわれたんだって」

「そんなことは…」

「とにかく次の休み時間にね」


チャイムが鳴り響き、私は頷く。
前に向き直る一瞬、葉山くんを見たけれど相変わらずその視線は窓の外に向かれていた。