ホームルームまで後5分というところで雪ちゃんと早紀ちゃん、最後に凛ちゃんが教室に姿を見せた。
「凛ちゃん、おはよう」
「おはよー」
大きなあくびをしながら席に着き、教科書よりも先にスマホを取り出した凛ちゃんはいつまでも前に向き直らない私を見て首を傾げる。
「昨日のこと?モテ王子に話しかけたないなら、次の休み時間にでも付き合ってあげるって」
朝はテンションが低い凛ちゃんにホームルーム前にあれこれ話しかけることはしない。それは他の2人も一緒だけれど、今朝の私は引き下がれない。
早く、言ってしまおう。
「あのね、私、葉山くんと付き合うことにしたの」
「は?」
すぐにスマホから顔を上げた凛ちゃんは「まだ寝ぼけてるの?」と、笑った。


