その手をぎゅっと掴めたら。


葉山くんは着替え終わったようで、髪もすっかり乾いてしまっていた。


「寒くない?」

「はい、寒くないです」


脱いだ制服を抱えた両手に力を込める。
大丈夫、普通に話せるよね。


「あ、ありがとうございます」

「飲み物でも飲んで行って。帰りは送るから」

「い、いえ。そんな!これ以上、迷惑はかけられません!」


押しかけてきたクラスメートへの対応としては十分すぎるご好意をいただいた。早く、退散しなければ。


「俺が、君と話したいんだよ」


「……え」


「リビングだと母さんの視線が痛いから、俺の部屋でもいい?」


「は、はい」


待って。気持ちが追いつかない。
1時間くらい前は、玄関で冷たい言葉をかけられたのに。今は柔らかい表情で私を見つめてくる。

これってどういう展開?