その手をぎゅっと掴めたら。


大きめの足音がする。
そうだよね、雨だから早く帰りたいよね。


私も…帰りたい。
家に、帰りたい。


立ち上がろうとシャッターに手を突いた瞬間、ズキリと鈍痛が身体を駆け巡る。


「痛っ…」


上手く立ち上がれず、ふらついた拍子に、
今度は背中に衝撃を受けた。


「ごめんなさい!」


通行人にぶつかってしまったのだ。

慌てて振り返り、顔を上げて謝ろうとした瞬間、

右腕をとられた。



「なにしてるの」


「は、や、……ゲホッ、」


葉山くん、そう言いたかったのに思い切りむせてしまった。



「落ち着いて」


優しいリズムで背中を叩いてくれた葉山くんは屈み込み、私と視線を合わせてくれた。


「大丈夫?歩ける?」


その声が優しくて、また涙が溢れてくる。