その手をぎゅっと掴めたら。


痛む右手を左手で押さえて、背を向ける。
泣き顔は見られたくなかった。


「学校ではちゃんとするから…だから、葉山くんも早く学校に来てね」


「…分かった」



背後でそう小さな返事がした後、すぐにドアが閉まる音がした。



怖くて振り返りはしなかったけど、全て終わったのだと思い知った。





頬に水がポタポタと垂れる。
間隔を開けることなく、何度も何度も。


それは涙にしては大粒で、空を見上げれば稲妻が光った。



「雨か…」


タイミングが悪いな。
空に向かってへらへらと笑う。


ビニール傘を返してもらえば良かったのかな。
まぁもう今更、戻る勇気はないけれど。


とぼとぼと来た道を引き返す。
果たしてその道が合っているかも分からずに。