ドアに寄りかかった葉山くんはやはり気だるげだ。
「…心配してくれてありがとう。でもさ、もうこういうことは、いいから」
「いいから…」
「止めてってこと」
淡々と、そしてはっきりと言われた。
「ごめん、迷惑なんだ」
「……」
知ってた。分かってた。
でも心配で来てしまった。
それに、
「ひとつだけ聞きたいことがあって、それもあって来たの」
9割は葉山くんを心配に思う気持ちで、残り1割は自分のために来た。
「私と別れたい理由って、他に好きな人ができたから?」
「……」
「葉山くんに罰ゲームで告白した翌朝、私たちは付き合うことになったでしょう。その時、葉山くんは私に覚悟があるなら付き合ってくれるって言ったの覚えてる?葉山くんと付き合うことで、私が傷つくことがあるかもしれないって」
葉山くんはあの時こう言ったんだ。
ーー俺と付き合うことで、君に嫉妬して君を傷つけようとする女子が何人も居るってこと。俺を嫌う男も少なくない。
そこまでして葉山くんと付き合うメリットはないと提示されたようでーーだから私は、
「いつか葉山くんにとって本当に好きな人が現れた時に、私とのことを思い出して前に進めるような、そんな関係になれたらいいなって思った。だからもし、今の葉山くんに好きな人が現れたのなら、いいかなって。私との時間も、少しは…少しだけは無駄じゃなかったのかなって、思えるかなって…」
最後の方は訳が分からなくなった。
葉山くんは黙って私の話を聞いてくれた後、
「だから?」
そう冷たく聞き返してきた。


