生徒会長はそれから何も聞かず、時折私の身体を気遣う言葉をかけてくれながら、葉山くんの家まで案内してくれた。
「ここよ」
大きな一軒家が間隔を空けて立ち並ぶ閑静な住宅地で"葉山"と書かれた表札の前で足を止める。
黒を貴重とした立派な一軒家だ。
「私はいない方がいいと思うから、帰るね」
「わざわざ、ありがとうございました」
腰の痛みを無視して深々と頭を下げ、心からお礼を言う。
「頑張ってね」
そう言い残してすぐに立ち去った生徒会長が見えなくなるまで見送った。
彼女に好意を寄せられてもなびかない葉山くんって何者なのかと考えてしまうほどに、優しくて、美しくて、完璧な人だ。
はぁと、ため息をついて表札と向き合う。
その下のチャイムに手を伸ばして、ぐっと力を込めた。


