その手をぎゅっと掴めたら。


きびきびとしたイメージの生徒会長だけれど、私の体調を気遣ってか、ゆっくりと歩いてくれた。

電車に乗り込んだ後も、ひとつだけ空いた席を私に譲ってくれた。


病院の中ではトイレと売店、ベッドの往復がメインでほとんど動かなかったため、正直、身体がだるい。電車の揺れに酔いそうになった。


「昔も、こんなことがあったの」


「え?」


「何日も何日も学校を休んで、誰とも会おうとしなかったことが…」


どうしてですか?とは、聞けなかった。
それを彼女の口から聞くべきではないと思った。


「その時の話、聞いたことあるかしら?」


首を振る。

知らない。
彼が話したくないことは無理に聞かないと思っていたし、なによりーー


『俺はまだ佐野に言えてないことがある。きちんと伝えるから、もう少しだけ時間をくれますか?』


デート中に公園でブラックコーヒーを飲みながら、そう言ってくれた葉山くんの言葉を信じていたのだから。