その手をぎゅっと掴めたら。


その晩、退院の前祝いだと言って亜夜がケーキを買ってきてくれたので、看護師の目を盗んで2人で食べた。


その箱は隣町にできたばかりの海外では有名なケーキショップのもので、大して好きでもないケーキを亜夜が並んで買ってきてくれたことが伺える。


そしてガラでもないケーキを買ってきた、とだけ報告してくれた亜夜のクールな優しさに癒される。


「あ、青山さん来なかったんだ?」


青山さんがさの喫茶に現れなかったことを、17時半頃にメールで教えてもらった。


「別の用事ができたんだろうね。青山さんに会いたい気持ちもあったけど、真奈がいない時に会っても気まずいだけだから、ある意味良かったかも」


「今度、改めて紹介するね。せっかく店番してくれたのに、ごめんね」


「いーよ、別に。その代わり、元気になったら、色々と私に尽くしてよ!」


「えー」


「当たり前でしょう」


くだらない話で笑い合う。
心からほっとできる大切な時間だ。