その手をぎゅっと掴めたら。


校舎前で向かい合う。

相変わらずのポーカーフェイスで彼の心は見えない。まさか2日続けてモテ王子と向き合うことになるとは…。


「葉山くんさえ、良ければですけど…その…」

「最初から付き合っても良いって俺は言ってるけど」

「……」

「……」


葉山くんはもちろん私のことを好きでないし、好みの女性とは程遠いことだろう。
私も葉山くんのことをよく知らない。


でも少しだけ分かった。
彼は相手を思いやれる人なんだと。

私が証明してみせるよ。
どんなことにも屈せずに、あなたから離れることはしない。もちろん葉山くんが離れたい時は別だけれど。




「これまで誰かと争ってまで守りたい奴はいなかった。面倒くさかったから」


少し間をおいて、でも、と続けられる。


「君のことは守るよ」


そう言ってすぐに前を向いてしまったけれど、ほんの少しだけ葉山くんの表情が緩んでいた気がした。



いつか彼にとって本当に好きな人が現れた時に、私とのことを思い出して前に進めるような、そんな関係になれたらいいな。

葉山くんの背を追って私も歩き出した。