その手をぎゅっと掴めたら。


だからね、葉山くん。


「私は、そんなことで屈しません。なにされたって、大丈夫です」


もう同じ過ちを繰り返さないと決めたから。


「クラス中から無視されることになっても?友達も無くすぞ」


「はい、それでもへっちゃらです」


「そんなこと言っても、すぐに嫌になるさ。そして気付く。俺にそこまでして付き合う価値がないってこと」


まるで現実に起きたことのような言い草だ。

私に背を向けたままの葉山くんがどんな表情をしているかは分からないけれど。きっと暗い顔だろう。

今だって友人の顔色を伺っている私の言うことに説得力はないかもしれないけれど、この瞬間から、変わるから。


「私は負けません。だから葉山くんも負けないで」


「それは、俺と付き合うってこと?」


やっと葉山くんがこちらを向いてくれた。