「覚悟ですか?」
葉山くんの背中に問う。
「私はなにを覚悟すればいいのですか」
もしかして酷いことされる?パシリにされるとか?それは仕方ない。自分の行いを償うチャンスをもらえるなら、甘んじて受けよう。
「俺と付き合うことで、君に嫉妬して君を傷つけようとする女子が何人も居るってこと。俺を嫌う男も少なくない」
あれ、違う。
私の想像した覚悟とは違い、それは他者による嫌がらせのことを指しているようだ。
「だから、今まで告白されても誰とも付き合わなかったのですか」
「まぁ、それもあるな」
「…葉山くんは悪くないのに」
「……」
葉山くんは完璧なんかじゃない。
彼にも不安や、生きにくい世の中だと思う瞬間があるはずだ。
ましてや人間の負の感情は恐ろしい。
中学生の頃にクラスメートから嫌がらせを受けていた私だからこそ理解できることもある。
でもね、私はもう逃げることを止めた。
言葉の暴力を受けたら、我慢せずに言い返す。それがどれだけ大切なことかを知っているから。
だから、


