その手をぎゅっと掴めたら。


いくつか検査を受けてからはまた一眠りした。

前田先生は授業があるので、付き添ってくれると言ってくれたが無理矢理に帰ってもらった。入院になってしまい、亜夜は着替えなどを取りに帰ってくれている。


隣のベットは空いているため私しかいない病室で、窓から差し込む夕日に目を細める。


階段から落下するなんて、我ながら恥ずかしすぎる。

しかし強運にも足とお尻の打身だけで済んだ。検査では異常が見られないが頭を打っている可能性も否めない為、しばらく様子を見るための入院だという。
普通は骨折くらいするだろうにと、先生も驚いていた。


それにしても葉山くんにカッコ悪いところを見せてしまったな。


落下後、葉山くんが救急車を呼んでから、凛ちゃんに先生を呼んでくるよう指示したという。

そして前田先生からお父さんに連絡が行き、お父さんから亜夜に連絡がいったという。
みんなに迷惑かけちゃったな。


「はぁ」


お父さんは夜には東京に着くようだ。
仕事が忙しいだろうに、すぐに駆け付けてくれる。


携帯の時計を見れば、もうとっくに放課後だ。
葉山くんはどうしているだろうか。

ーー連絡はなかった。