その手をぎゅっと掴めたら。


次の瞬間、

「佐野!」


階段の上から葉山くんの声が聞こえ、彼が手を伸ばしてくれた。

咄嗟にそれを掴もうとしてーー。





頭と背中に衝撃を受け、私は意識を手放した。









「痛っ…」


「真奈!真奈!」


私の名前を呼ぶ声がして、重い瞼を開ける。


「亜夜…」


亜夜の顔が近くに迫り、その後ろに前田先生の姿が見えた。