その手をぎゅっと掴めたら。


額に滲んだ汗と、震える唇。

動揺しながら背中をさする。


「病院行こう!救急車呼んだ方がいいよね?」


苦しそうな彼を見て涙目になってしまった。
しっかりしないと!


「…大丈夫だから、落ち着いて」

「でも…」

「実は今朝から熱があって。ここに来る前に病院寄ったから、薬はあるんだ」


早口で彼は言う。
その言葉の通り、バッグ取り出した小さな紙袋は病院の名前が記載されていた。

その中にはカプセル型の薬が入っていた。

ミネラルウォーターを取り出して薬を呑み込む葉山くんを見守る。


話しかければ無理に口を開かせてしまうので、ただ彼の背中をさすり続ける。


「…びっくりさせたね、ごめんね」

「ううん、大丈夫だよ」


ああ。
やっぱり具合の悪い時って、人間はダメになる。

いつも完璧な葉山くんさえ、注意力を欠いてしまうんだ。




調剤薬局から渡されたであろうその紙袋には、8月31日と日付スタンプが押されていた。

今は10月なのに、何故8月に処方されたであろう薬を飲んでいるのだろう。


今日、病院に行ったという話が嘘のように思えてしまった。