その手をぎゅっと掴めたら。


黒いシャツに少しゆったりめのパンツを履いた葉山くんが登場し、鼓動が高鳴る。
葉山くんとお家デート!


中央の柱時計を確認すると11時22分を指していた。大分早いな。葉山くんも今日のデートを楽しみにしてくれているのだろうか。


よし、背後に回って声をかけて驚かそう。


気合を入れてそっと、葉山くんに近付く。




けれど、その背中に回り込む前に、

彼はがくんとその場で膝を下り、道端でしゃがみ込んでしまった。


下を向く葉山くんの表情は見えず、サプライズも忘れて慌てて駆け出す。


「葉山くん!?どうしたの?」


「…佐野?なんで……」


顔を上げて私を確認した葉山くんの顔は真っ青で苦しそうに息を吐き、言葉をやっと紡いでいるようだ。


「驚かそうと思って迎えに来たの。それよりどうしたの?顔色がすごく悪いよ!」


口元に左手を当てて、彼は首を振った。