その手をぎゅっと掴めたら。


そして土曜日。
この日のために奮発して新しい服を買った。
花の刺繍入りの淡い黄色のワンピース、ヒールのあるパンプスという少し背伸びをした格好だ。

ヘアセットも亜矢に頼らず、真っ直ぐな髪をカールさせて柔らかい雰囲気がでるように頑張ってみた。少しでも葉山くんに吊り合う女の子になりたくて。

こういうことを成長したって言うのかな。
以前なら最初から彼は別世界の人間だと境界線を引いてしまっていた。でも今は彼に見合うようにできることはしたいという前向きな気持ちだ。


そんな私の背中を押すかのように、お店の扉を開けると外は快晴だった。


葉山くんとは"さの喫茶"で待ち合わせだ。

最寄り駅からさの喫茶までは7、8分というところだが、家でじっとしていられず迎えに行くことにした。

待ち合わせの12時より30分前に南ヶ丘駅に着いて、彼を待っている計画だ。驚かそうと思って、駅で待っていることを葉山くんに伝えてはいない。

わくわくする。
驚く彼を想像してニヤけてしまいそうになる顔を引き締めて、青になったばかりの信号を合図に歩き出した。