青山さんくらいになるとたくさん恋をしてそうで、聞いてみたいけれど、気恥ずかしくて聞けない。恋愛経験値が低いと、こういう時に尻込みしてしまう。
「でも最初は色々あったけど、今では普通に恋人同士で、話を聞いているとほっこりするよ」
「はじまりは彼の自嘲気味な発言というか、挑発に乗せられただけでした。葉山くんと付き合うことで嫌がらせを受けたり、辛い目に合い、そうまでして葉山くんと付き合う価値はないよ、って言われました。だから私が頑張って最後まで葉山くんの彼女を演じて、いつか彼に本当に好きな人ができた時に、"大丈夫だよ。私はあなたから離れなかったでしょ?"って胸を張って言いたかったんです」
嘘告白の次の日。
早く登校して葉山くんと交わした言葉たち。
あの日、虚勢を張ってしまった。
「でも結局、私は昔のままで偉そうなこと言って付き合ったわりには全然ダメで…凛ちゃんのことも葉山くんに結局は助けてもらって。強くなれた気がしたけど、弱いままの自分が嫌になります」
ああ、今日も。青山さんの前ではなんでも話してしまう。
彼が纏う優しい雰囲気が弱い私に寄り添ってくれているようだ。
「みんな同じだよ。弱いし、すぐに傷つく。こう見えて能天気な俺にも辛いことは色々あったんだよね。でも今日辛くても、いつかは自然と笑えるものだと思う。だってほら、俺、いま笑ってるじゃん」
控えめなピースサインと共に明るく言い切った青山さんはうんうんと頷く。
「笑えなくなった俺を救ってくれたのが、あなたのお祖父様なんだよ」
それは意外な言葉で驚く。
祖父からも聞いたことがなかった。
「きっと人は傷ついてもまた、立ち直れると思うよ。嘘告白から本当に好きな人に出逢うケースもあるしね。人生何が起きるかなんて分からないよ。ね、一緒に頑張ろう」
嘘告白。
最悪だと思っていたあの罰ゲームがなければ、なにも始まらなかった。そう考えると不思議だ。
「はい、頑張りましょう」
何故か無性に青山さんの"頑張ろう"が心に沁みた。


