その手をぎゅっと掴めたら。


金曜日、いつもと同じ時間。


思い切って葉山くんとの朝の会話を青山さんに伝えてみる。淹れたてのコーヒーとは正反対の甘ったるい話だ。


「へぇ。彼氏くん"さの喫茶"に来るんだー」


湯気で青山さんの眼鏡が曇る。


「土曜日なので残念ながら、青山さんにも亜夜にも会わせられないのですが…」


「近いうちに会わせてよー」


「はい、ぜひぜひ」


今日の青山さんも白いシャツと細身のパンツを着込み、さの喫茶のオリジナルトートバッグを下げてくれている。
青山さん以上に白いシャツが似合う男性はいないよなぁ。あ、スーツ姿も似合いそう。

もうすぐ10月になってしまう。
こうして毎週金曜日に通ってもらえるのも後2ヶ月程度。年明けには留学に行ってしまう。
寂しくなるな…。
言ってしまう前に葉山くんのことを紹介したいと思う。


「明日だと思うとドキドキして、今夜は眠れそうにないです」

「それでこそ、青春だよ」


いいじゃん、と青山さんは優しく笑いかけてくれる。こんなにも魅力的なスマイルを送られたら世の女性たちはときめかないはずがない。