その手をぎゅっと掴めたら。


雪ちゃんは立ち上がって、凛ちゃんの席に座った。

私も前に座り、向き合う。


「最初の罰ゲームもさ?モテ王子に嘘告白することになったあの小テストも、テスト前に凛ちゃんが職員室に行ったら、先生の机の上にテストの問題が置かれてたんだって」

「え?そうなの?」

「そうそう。だから凛ちゃんと早紀ちゃんと私は前もって、小テストの問題を把握してたってわけ。あの子は誰かを虐げることで、自分が上位に立って満足してるのーー私も人のことは言えたもんじゃないけどね」


私が最下位になるように仕向けられていたんだ。
怪しいとは薄々感じていた。


「色々、ごめんね」


「……うん」


そういえば告白の相手を葉山くんにするよう促してくれたのは雪ちゃんだったな。


「本当にごめんなさい。ずっと謝りたくて」


「ううん、いいの。見方を変えれば、私はみんなに騙されたおかげで、葉山くんと仲良くなれたから。だからもう、いいんだ」


「真奈は変わったね」


雪ちゃんは頬杖をつき、口を尖らせた。
その仕草が女の子らしさ全開で可愛い。


「真奈を変えたのはモテ王子なんだろうね」

うん、と頷く。


「私たちと居る時の真奈は、私たちの顔色を伺って、嫌なことも合わせてくれてたでしょう?でも葉山くんの傍にいる真奈は、心から笑っているように見えるよ」


心の内はバレてたんだ。
きっと凛ちゃんにも伝わってしまったんだろうな。

私は彼女たちに利用されていたわけではない。ひとりになりたくて、私が、みんなを利用していたんだ。そんな心構えだったから、本当の友達にはなれなかったということだろう。


「雪ちゃん、こちらこそ今までごめんなさい。そしてまた話し掛けてくれてありがとう。こうして雪ちゃんと話せること、すごく嬉しい」


これは本心だ。

「なに言ってるの。ちょっと喧嘩したくらいで。また甘いもの食べに行こう」

「うん、行こうね」


私は変われる。
もう友達の顔色を伺うだけでなく、自分の意見もきちんと伝える。それで否定される仲なのであれば、無理して一緒にいる必要はない。

そんな風に割り切れるようになったのは、誰かに頼らなくても学校生活を送れる強さを、葉山くんにもらったのかな。