助け舟を求めて前田先生を伺うと、目が合う。
そして間髪入れずに言葉を投げた。
「英知くんは、どんなことに興味があるの?」
「僕は、テニスが全てです。将来の夢はオリンピックでメダルを取ることです」
先生の質問にパッと顔を上げて、英知くんは真剣な目で言った。
それは本気で夢を追っている者の表情だった。
「テニスか、昔は私もーー」
「僕は、北斗さんのような選手になりたくて、追いつきたくて、必死に練習してきたのに」
前田先生の声は、英知くんの発言に上乗せされてしまった。
「何度も敗北して、何度も挫折しても僕はテニスを捨てきれないのに、どうしてあなたはあっさりとテニスを辞められたのです?あなたは誰よりも上手かったし、沢山の努力もしてた。そうして積み上げてきたものを、諦めるんですか?例えどんなことがあっても、ラケットを放してはなーー」
「英知」
早口に連なる言葉を、葉山くんがピシャリと止めた。
「君は今日、何しに来たの?」
柔らかい物言い。
だけど私には怒っているように届いた。


