その手をぎゅっと掴めたら。


眠れなくても朝は訪れるもので新聞配達の音、洗濯機の回る音、そして携帯のアラームが鳴り響いた。

いつもは耳慣れた音に必死に争い、何度も繰り返されるアラームの末に渋々ベッドから抜け出すのに。今朝は瞬時にアラームを消して、すぐに制服に着替える。


昨夜はたくさん考えたけれど、雪ちゃんの言う通り彼に聞いてみないと返事の真意は分からない。それならばみんなより先に彼と会って、話してみようと決めた。2人だけで、話したい。

そして謝りたい。
それが彼に対する誠意だと思った。


いつもより1時間早く家を出て、校門で彼を待ち伏せすることにした。

私にしては勇気を出せたほうだと思う。