その手をぎゅっと掴めたら。


食堂から教室に移り、相談会が開催された。

前田先生の指示で机を6つ並べて、
先生、私、葉山くんの順に座る。

向かい側は中学生や保護者の席になる。


「答えにくい質問には俺が答えるよ。おまえらはなにも言わなくていいからな」


「毎年、どんな質問がくるのですか?」


「一番多いのは大学受験への対策。親御さんとしてはこれが一番気になるんだろうな。学生からは部活のこととか、友達関係とか、勉強とは関係ない質問が多いな」


葉山くんの問いに先生は答えてから、でも、と付け足す。


「まぁうちの入試トップで入学した葉山がいるから、勉強のことを聞かれたらおまえが答えろよ」


トップ!?
500人は超えるであろう学年全員の中で、一番入試の点数が良かったってこと?天才じゃない?

この前の英語の小テストは満点だったけど、葉山くんにとっては余裕なことだったのかも…。


「入学当時の成績は良くても、今では後ろから数えたほうが早い順位ですからね」


涼しい顔で葉山くんは答える。
定期テストの順位は上位100名のみ廊下に張り出されるが、確かに葉山くんの名前を見たことがない気がする…。


「そうだな。おまえは全教科、補習にならないギリギリ悪い点数で答えてくるからな。ある意味、器用だよ」


「単なる勉強不足ですけどね」


それってちゃんと勉強したら、また首位に返り咲けるってことだよね。やっぱり天才じゃん。


感心していると、教室後方の扉がノックされた。


「どうぞ」


現れた女子中学生とそのご両親を見て、緩みかけていた緊張の糸が再び張り詰めた。

どうか、難しい質問はされませんように…。