その手をぎゅっと掴めたら。


こんな休日がずっと、続けばいいな…。


そう願った途端、太陽が雲に隠された。



「………北斗さ、ん?」


聞こえた声に反応すれば
空になったお皿を乗せたトレーを両手で持った小柄な男子中学生が立っている。

葉山くんの知り合いかな。
名前を呼んだしね。


「……」

「……」


少し間が空いた後、葉山くんは彼を見上げて微笑んだ。


「久しぶりだね。うちの高校を受けるの?」


中学生の彼は「はい」と短く答えた。



身長的には1年生かな…。
短めにすっきりと切り揃えられた黒髪に、少し吊り上がった目。その綺麗な瞳は葉山くんを捕らえて離さない。

制服はブレザーだったけれど、お洒落な校章を見ても無知な私にはどこの中学のものか分からなかった。