「それはスピカにも言いにくい相談なのか?」


 レグルスは首を傾げている。

 うーん、まぁ……わからなくもない。同性である私に相談できなくて、さほど親しいわけでもないレグルスに相談したいこととはなんなのか。

 レグルスがそんな風に考えているのであろうということは想像できるけど、でもさ——あなたの大好きなミラからの個人的な相談ごとなのに、なんで首傾げてんの?

 ここは喜んで二人きりで相談をのるところじゃないの?


「言いにくいと言いますか……」


 ミラが気まずそうに俯いた。そんな様子を見て、レグルスは小さくと息を吐き出したのが見て取れる。そして……。


「なら、今少し時間を取ろう」


 そう言って、ミラは顔を輝かせるように微笑んだ。そんな顔を見ようともせず、レグルスは私の方へと顔を向け、こう叫ぶ。


「スピカ。昼食の前に少しミラ嬢と話をしてくるから、スピカは先に他の友人と食事を取るといい。ミラ嬢は後で参加する」


 突然舞台に上げられた私は、慌てふためきながらも、ミラがこの教室にいたことも今気づいたという様子で驚いた顔を向けた。

 ……正直、演技にはさほど自信はないのだけど……。