「ああ、自分でするよりはいいだろ」


 自分でした方がいいんじゃないかな……なんて失礼なことを考えている間にも、レグルスは私の怪我をしている方の手を取り、そこに消毒液を湿らせたコットンを当てた。


「……!」


 しっ、しみる……! かすり傷のくせに、なかなかしみるじゃんか。


「痛いか? 少しの辛抱だからな」


 私が引っ込めようとした私の手をぎゅっと掴んで離さない。むしろ逃しはしないとでも言いたげに、しっかりと捕まえられている。

 消毒液のついたコットンを離された後、意外にもレグルスは優しい表情でふっと柔らかな吐息を私の傷口に吹きかけた。


「まだ滲みるか?」


 私は返事の代わり二度ほど小さく首を振った。そんな私の様子を見た後、レグルスは再び笑って、私の傷口に消毒液の匂いがする包帯を巻いていった。