——全て思い出した。




「スピカお嬢様、お目覚めになられましたか?」


 私が目をさますとすぐさま駆けつけてくれたのは、使用人だ。確か名前は、コメット……だったかな? 私は学園で倒れたにも関わらず、目覚めた私は私の自室、ベッドの上だった。

 コメットは私が起きやすいように背中に手を添え、枕を重ねてもたれやすいように厚みを出してくれた。


「あっ、ありがとう」

「えっ!」


 えっ? すごい驚いた様子でコメットは口を塞いだ。

 な、なに? 私何か変なことした? 


「しっ、失礼いたしました! あの、スピカお嬢様がお礼を言ってくださるなんて……」


 コメットはそう言った後、すぐに自分が言った言葉は失言だと気付いた様子で、再び両手で口を塞いでいる。けれど、それはどう考えても少し遅いと思うのだが。


「あっ、あの! も、申し訳ありま……」

「あははっ!」


 私は思わず声を立てて笑った。だってコメットが言わんとすることがその表情を見れば一目瞭然だったからだ。

 正直今でも私の頭は色々と混乱している。前世の記憶が突然蘇り、なぜ私がこの世界に生を受けたのかも理解した。けれど、それと同時に、私は今世の記憶も持ち合わせているのだ。


「私、かなり性格悪かったもんね。そりゃそうだ」

「いいいい、いえ、そんなことは——!」


 両手と頭をブンブン振りながら全力で否定しているが、その表情は正直だ。苦笑いしながら焦っている様子を見ると、かなり酷かったのにちがいない。