それに取り巻きといっても、特段仲がいいわけでもない。私と仲良くしていれば何かしら徳があると考えるような令嬢達だし、それも私の性格のせいで必要以上に一緒にいようとはしない。

 梨々香の性格も取り戻した今の私だからわかる。スピカとしての私だけだったら、全く何も気づいていなかった。ただ人に不満を感じぶつけるだけの、性格の悪い悪役令嬢スピカは、人の気持ちや表情には鈍感だった。


「とにかく、レグルスにああ言った手前、誰かに当たってみなくっちゃ……」


 見つけないと、また話がややこしくなる。なにせその輪の中にミラを誘わなければならないのだから。今更あれは嘘だった、なんて言えないし。

 なんか、嘘って雪だるま式に膨れていく気がするから、私はあまり嘘をつくのは得意じゃない。

 噓を吐けばその嘘という名のメッキが剥がれないように、必死になって嘘を本物に変えようとする。私は一体何をやっているのか……? なんて疑問を昔から感じてしまう。

 そう、それはまさに今のような状況で、自分で自分の首を締めていく。

 うだうだと考えていると、授業はあっという間に過ぎていき、授業終了のチャイムとともに私は席を立った。すると——。