バイトを始めてすぐのこと、大学一年の4月頃だった。僕はいつものようにバイト先へ向かった。
今日の担当を確認すると、初めて見る名前があった。
「高崎明里」
僕は特に気にすることも無く教室へ向かった。
「こんにちは先生、名前なんて言うの?」
「山口光です。よろしくね。」
ほとんどの生徒は先生に対して敬語を使わない。こちらとしてもそのくらいの距離感の方がやりやすい。
「先生彼女いるの?」
「どうだろうね。」
何故だろうか。僕には彼女がいるのに、いると言えなかった。いや違う、言いたくなかったのかもしれない。その理由は考えたくなかった。
「えー絶対いるでしょー。いそうだもん。」
「いつか教えてあげるね。」
僕は何故か嬉しかった。「彼女いそう」って言われるということは彼女にとって僕は恋愛対象になるのだろうか。いろいろ考えてしまった。
「じゃあ、これ因数分解してみて」
「もう疲れた、やりたくない。」
明里は勉強もできないし、やる気もない。会話だけが弾む。
講師にとって授業中に生徒と話す事はあまり良くないことは分かっていたが、生徒に話しかけられるとつい話してしまっていた。話しかけるなと注意することが講師としての行いだとは思うが、好感度を優先してしまっていた。
明里は周りの中学生とは違う。ルックスやスタイル、ファッションも大人びている。
僕は決して一目惚れした訳では無いが少し気になってはいた。
そしてバイトに行く度に明里の担当にならないなと願っていた。
今日の担当を確認すると、初めて見る名前があった。
「高崎明里」
僕は特に気にすることも無く教室へ向かった。
「こんにちは先生、名前なんて言うの?」
「山口光です。よろしくね。」
ほとんどの生徒は先生に対して敬語を使わない。こちらとしてもそのくらいの距離感の方がやりやすい。
「先生彼女いるの?」
「どうだろうね。」
何故だろうか。僕には彼女がいるのに、いると言えなかった。いや違う、言いたくなかったのかもしれない。その理由は考えたくなかった。
「えー絶対いるでしょー。いそうだもん。」
「いつか教えてあげるね。」
僕は何故か嬉しかった。「彼女いそう」って言われるということは彼女にとって僕は恋愛対象になるのだろうか。いろいろ考えてしまった。
「じゃあ、これ因数分解してみて」
「もう疲れた、やりたくない。」
明里は勉強もできないし、やる気もない。会話だけが弾む。
講師にとって授業中に生徒と話す事はあまり良くないことは分かっていたが、生徒に話しかけられるとつい話してしまっていた。話しかけるなと注意することが講師としての行いだとは思うが、好感度を優先してしまっていた。
明里は周りの中学生とは違う。ルックスやスタイル、ファッションも大人びている。
僕は決して一目惚れした訳では無いが少し気になってはいた。
そしてバイトに行く度に明里の担当にならないなと願っていた。
