勉強が得意だった僕は、高校を卒業し有名私立大学に入学した。高校時代はサッカー部で忙しかったためバイトはしたことがなかった。

大学生になった僕は、バイトを始めようということで、得意な勉強を生かすことができ、高時給である塾講師のバイトを始めることにした。個別指導である清星塾(せいせいじゅく)だ。この塾は主に中学生を扱っていた。

個別指導と言っても一対一で指導するわけではなく、一人の先生が一回の授業で持つ生徒は4人ほどであり、担当の生徒がいる訳でもない。担当する生徒は適当に校舎長が決めており、バイトに来るまで分からないのである。

「夏美、明日のデートどこ行く？」

「どこでもいいよ。」

大学生になっても僕たちの関係は続いているし、この会話もまだ続いている。