『ホレ、
あっちとあっちに
座ってるお一人様の男。』
タバコを咥え
目はわたしを見たままに
顎をクイッ向けた。
『あいつらたぶん
週刊誌かなんかのカメラマンだ』
「えっ!!?カメ……っ?」
大きな声を出しそうになり
慌てて口を塞いだ。
カメラマン……?
なんで……
『ここんところ
よくくるんだよ。
なんとかって俳優が
半年も事故から
意識不明ってのは
そろそろ通用し
ねぇんじゃねぇの?』
マスターは視線を
手元のコーヒーに戻した。
『そいつに似てるって
騒がれてるフミが
ここにきたら
パシャリ……ってわけだ。
同一人物だってことを
すっぱ抜くのは簡単だぜ。』
マスター
「気づいてるんですね……」
『………おうよ』
「……わたし、
全然わかんなかったんです。
テレビとか見なくて
だから……」
『だから
よかったんじゃねぇの?』
え?
『だからきっとフミは
おまえさんがいいんだろうよ。』
