上を見上げれば
雲一つない星空。
とはいえ、
この都会には
ネオンの明かりで
星なんて
一つ、二つしかみえない。
はぁ。と
吐き出す吐息は白くて、
やけに虚しくなった。
"柚、手つなごうか"
"柚寒いな、おいで"
いつも悠斗が隣にいて、
優しくて、
温かくて
こんなに
寒い日は久々で
「……泣くもんかっ」
涙を堪えるのが
苦しくなった。
"柚、大好きだよ"
「……キライ」
"柚"
「……バカ」
早く帰ろう。
早く眠りたい。
何も考えずに。
そう足を速めた時だった。
彼に気付いたのは。
彼に出逢ってしまったのはーーー
「…え?」
マンションの入り口の前の
茂みに人が倒れていた。
ね、寝てる……?
浮浪者…にしては、
綺麗だよね?
ど、どうしよう。
「あ、あの。」
『………ゔ…』
寝てない!意識ある!
「大丈夫ですか!?どこか痛いの?」
『……っ……』
「え?何?」
どうしよ……でも
なんかすごく苦しそう。
えっと……
あっ
「救急車!!!
救急車すぐ呼びますね!!
ちょっと待ってっ」
ガサゴソガサゴソ…
って。
携帯がぁ…ない?
なんでこんな時に!!!
あーもー
「やだ、どうしよっ……」
ガサゴソとカバンを
ひっくり返すあたしは
まるでドラ〇もん。
そんなあたしの手を
掴んだのは
氷のように冷たくなっていた
その人の手だった。
