居酒屋から外に出ると、
耳がジンジンと
痛くなるほど寒くて、
一気に酔いがさめる。
あぁ、もったいないな。
もう少しほわほわ
してたかったのにな。
まだ
考えたくないのに…な。
『ホントに一人で
帰れるの?
送ろうか?』
「大丈夫だよ。
心配症だなぁ、夏希は。
寒すぎて
酔いもさめたし!」
大袈裟にブンブンと
腕を振って見せた。
大丈夫。
あたしは大丈夫。
可哀相じゃない。
大丈夫。
「じゃあね~ん!
今日はありがと、夏希」
『……』
「夏希?」
『あ、うん。
また明日ね。
ちゃんと帰るんだよ。』
わかってる。
そんな顔しなくても。
カラ元気。
わかってるよ。
「は~い!じゃね!」
心配そうにあたしを
見つめる夏希に
大振りに手を振って
背を向けた。
「…ふぅ」
寒い。
寒いよ、悠斗。
こんな寒い季節に隣から
いなくなるなよな。
いつもつないでいた左手が
行き場をなくす。
寒いよ。
バカ。
悠斗のバカ………
