『ここだよ』
カラン──
そういいながら
大きな古びた木でできた
ドアを開けた。
『いらっしゃい、って
なんだ。フミか。』
『マスター、連れて来たよ』
『おーおー、話はきいてるよ。
よくきたな、柚ちゃん。』
そういってニッコリと微笑んだ。
口の回りは白髪混じりの
ヒゲに囲まれ、
少し垂れた目は笑うと
無くなってしまうほど。
背はフミさんほど高くない
けどスラッとして
スタイルもいい。
うしろにチョコンと結んだ髪。
『フミがいつも柚ちゃんの
話ばかりするから
楽しみにしていたよ。
でもやっぱり
予想どおりのコだな』
カウンター越しにそう言うと、
なぜだか固まってしまった
わたしに
『がははっ!
緊張してるのか?
何飲む?
コーヒーうまいぞ?』
えっ、
あ、あいさつ!
あいさつしなきゃ!
「あ、えっとあの。
い、いつもフミさんが
お世話になってます。
あたしは
里田柚奈といいます…」
ってあれ…
……なんか
へんなこと言った?
『がははっ!!
お前そりゃ
奥さんみたいな挨拶だな』
二人ともニコニコ
しながら笑ってる。
お、お
奥さんって~~~っ!!
プシューと音が聞こえるくらい
赤くなったのが分かる。
