「ゆ、悠斗?」


『勝手なのはわかってる。
だけど俺、
柚じゃないとダメなんだ。

柚がいない生活なんて
考えられない』


数日前なら



『頼むよ』



フミさんと出逢う前の
あたしならきっと

悠斗のこの言葉に涙を流して

悠斗のしたことを許して、

また



『俺のところに
戻ってきてほしいーーー』



悠斗を受け入れたと思う。




悠斗を好きだった気持ちに
偽りがあったわけじゃない。


好きだった

愛してた

信じてた



だけど




「……悠斗……」



今のあたしに
悠斗の言葉が響かない



嬉しくて流れるハズの
涙もでない


ただ浮かぶのは



"柚ちゃん"



フミさんの笑顔





「悠斗。

ごめん………


もう、ムリだよ………」



フミさんのあたしを呼ぶ声。




「ごめん………」




いつの間にか
あたしの心の中は
フミさんでいっぱいだよ───








こうしてあたしは
自分の気持ちに気が付きました。


恋をしてはいけない人

愛してはいけない人




それでもあたしは



フミさんに
恋をしてしまいました。


フミさんを
好きになってしまいました。






幸せになれない




そんなこと



わかってるのにーーー