こうやって毎日普通に
時を過ごしてると
ふと忘れてしまう。
フミさんの記憶がないこと。
でもね。
あたし知ってるの。
昨日の夜魘されていたこと。
朝まで布団の上で
頭を抱えてたこと。
フミさん、
一人で抱え込んでるよ?
今この笑顔はあたしに
心配かけさせないため。
あたしが大学にいってる間も、
一人で何を考えてるの?
『……柚ちゃん?』
「え?」
ヤバ、
ぼーっとしてて聞いてなかっ……
『ご飯粒ついてる、ほら』
そういって
あたしの頬に触れた指を
自分の唇に運んだ。
『うまい』
「た、たべないでくださいよっ」
『なんで?もったいないじゃん』
もったいない?
あたしがもたないっつーの!!
どんどん赤くなったであろう
あたしを知ってか、
知らずか、また笑った。
『柚ちゃん』
「な、なんですか」
もう、からかって!
『味噌汁』
「は?」
味噌汁……………
「きゃ~~~~!!」
口元に運んだハズの
お味噌汁があたしの膝に
ポタポタと垂れていた。
『ぷぷっ、なにやってんだよ』
「笑ってないで、
もっと早く教えてくださいよっ」
あぁ、完璧に
あたしのペースが乱されてる。
ダメだ!ダメ!!
この人だけは絶対に
好きになったら
ダメなんだからっ!!
