その日は買い物に行った。
悠斗の服も小さいし、
ましてや、
フミさんの着ていた
病院の入院着じゃ
それこそ目立って出歩けない。
病院着には
"市立中央病院"の文字。
フミさん…どれだけ走ったのよ。
この病院、隣の市の大きな病院。
車でもここからだと
1時間以上かかるよ。
どれだけの恐怖が
フミさんを襲ったのか、
考えるだけで恐ろしくなった。
『ごめんな。
一銭ももってなくて…
こんなに買ってもらっちゃって』
しょぼんとしたフミさんは、
なんだかかわいい。
「うふふっ。いーんですよ!
記憶が戻ったらちゃーんと
返してもらいますから。
ほら、サングラスとこの帽子。
フミさん似合いますよね。
これならフミさんだって
ばれないですよ。
あ、でも念のため一人では
出歩かないでくださいね!」
『……はい。そうします』
「当分うちにいていいです。
実家は九州だし、
親は絶対にこないし。
彼氏もいませんから。
全然平気です。
あたし、
学校あるから
昼間はいないけど…」
その昼間がちょっと心配だけど。
『…いや、でも…
いつまでも迷惑を
かけるわけにはいかないよ。
それでなくても、
こんなに迷惑かけてるのに…』
そういって
悲しい顔をするフミさんに、
また胸が軋んだ。
なんだろう…。
「うーん。
そんなこと言っても
行く当ても頼る人も
いないんでしょ?」
『……ゔ』
「また路上さ迷って
結局倒れて誰かに
迷惑かけるんですよ。
いやいや、
誰かが手を差し延べて
くれるならまだいいです。
どうします?
病院に逆戻り…
なんてことになったら」
『……ゔゔ…』
ふふっ、
ぐうの音もでない。ってやつだわ。
ちょっと意地悪すぎたかな。
「迷惑だなんておもいません。
フミさんが迷惑かけるって
言うならそれでいいです。
迷惑かけてください。
あたしに。
その迷惑、
喜んで引き受けますから」
ニッ!!
思いっきり笑ってしまった。
ちょっぴり、恥ずかしい…。
「いや、だからその…」
