温かくて、心地がいい

おでこにかかる吐息───



ゆっくり、
重いまぶたを開ける



「……ん、」


ぼやけた目を擦る。


──あれ?



鎖骨…?綺麗………


………



…………っ!?




頭の下には
フミさんの腕があって、

あたしはフミさんに
すっぽり包まれていた。


床に座って、
ベットにもたれ掛かって


あのまま、

二人して寝てしまったんだ。




(ど、ど、ど、どうしようっ。


なんかとんでもなく
ドキドキするんですけどっ!)




「……きゃっ!」




ぎゅうっ、と




あたしを包む
腕に力が込められて

ますますフミさんと密着した。


(お、落ち着け、柚。
ね、寝てるんだから)


チラッー


フミさんを見上げれば、
すぅすぅと気持ち良さそうに
寝息を立てている。



疲れてたんだね。
寝てないっていってたし。



それにしても



ーー綺麗な顔。






「…ふぅ……」




あたしは全身の力を抜いて、
フミさんの温もりの中、


再び眠りにつくことにした。



温かくて、

優しい温もり。



この腕の中は

本当は違う人の特等席。




目を瞑って見ないようにして
フミさんの寝息を聞きながら

ゆっくり

眠りについた。



───
──