あの日、



彼に出逢わなければ良かった。


彼を綺麗だと思わなければ良かった。


彼を抱き締めたいって思わなければ───



そうしたら──



こんなに苦しい思いを
することになるのは

最初から
わかっていたはずなのに。





どうして足を踏み入れたのだろう?


どうして引き返さなかったのかな?





彼を苦しめるのは


あたし。





あたしはもう
貴方の側にいてはいけないの。


その笑顔も
あたしのものではない。


あなたを待っている人が
いるんだもの。



あたしが愛した"フミさん"は


あたしを愛した"フミさん"は





もういないんだ───



これで良かった。

こうなるべきだったじゃない。


なのに、どうして
こんなに苦しいんだろう───


わたしはそんな思いを抱えながら
彼は彼を見つめる。




決して触れることのできない世界。



そんな世界で彼は煌めいている。







ねぇ、フミさん。


大好きだったよ────