目を見るなんてできない。
だけど……
ぐっ、と唇を噛み締めて
顔を上げた。
「ッ……ふ……ぅ……」
涙が止めどなく溢れて
くるのを必死に塞き止めようと
深呼吸してみる。
吸い込まれるような
フミさんの瞳。
真っ直ぐにわたしを
見てる。
そらすな……そらしちゃ
ダメだ。
『なぁ』
怒ってる?
悲しんでる?
今にも泣きそうな
その瞳を見て
『……言えよ
泣いてんなよ』
何を言えというのだろう。
「……ック……」
『なぁ、柚……』
柚…………
ゆっくりそう呼んだ。
初めて柚って
呼んでくれた。
フミさん、大好き。
奥さんのところに
帰らないで。
なんて、どの口が言えるの?
耐えきれずに視線を
落とした。
『ごめん……』
一言フミさんは
そう呟くと
壁に押し付けた手を
わたしの首にまわして
そのまま、
「んっ、」
チュッ──
唇を押し付けてきた。
熱くて少し震えている
フミさんの唇。
「ッ……ふっ……フミさ……っ……」
『黙って』
何度も何度も
角度を変えて啄む。
息ができないくらい
強く触れる。
ずっとしたかった
フミさんとのキス───
「ッ……フッアっ……ン……」
今は苦しくて仕方ない。
