─────え?
今、なんて……
『元気そうでしたね、今』
顔を上げてその人を見ると
真っ直ぐわたしを見ていた。
怖いくらい刺すような目で、
わたしを見ていた。
心臓がドキンっと跳び跳ねて
バクバクと音を立てる。
な……なに?
どうしよう、なんて答えたら…
『生きてるんですね、
記憶は戻ったのかしら?』
「……あ、あの」
生きてる?
記憶──?
フミさんの記憶がないのを
知っているの?
さらに大きく高鳴る鼓動。
『ねぇ?』
この人は……
フミさんの秘密を
知ってるこの人は……
『戻る前になんとか
したかったのだけど。』
そういって髪をかきあげて
鞄からタバコをとりだした。
「……フミ……連さんの
奥さん…………?」